この記事ではVRChatにおいて、自分で用意したオリジナルのアバターをアップロードするために必要な準備について解説します。
基本的にはVRChatを初めてプレイしたばかりの状態で、すぐにアバターのアップロードをすることはできません。
アバターをアップロードするためには色々と準備をする必要があるのです。
特にVRChatでは使用するソフトのバージョンや対応規格などを細かく確認する必要があるので、まずはこの記事の内容にそって行動していただくことで順番に準備を済ませられるようにしています。
私自身、知識ゼロの状態からスタートして情報をかき集めながらアバターのアップロードに成功したのですが、その情報の整理と備忘録を兼ねた記事にしているので初めての方でも問題なく進められると思います。
必要な準備
まず大前提として必要な条件やモノがいくつかあります。
- Trust Rank(Level): New User以上
- 導入したいアバターのデータ
- Unity Hub
- 指定バージョンのUnity
- 指定バージョンのVRCSDK3
これらの言葉は初めて見る方にとってはまったく意味がわからないと思いますので、一つずつ説明していきます。
知らない要素が多すぎて最初は面倒くさそうに見えますが、全体的な流れを一度理解して慣れてしまえば意外と大変ではありません。
手順的にも記事の上から処理していったほうがスムーズなので、順番に実行していってください。
Trust Rank(Level): New User以上
Trust Rankとは
現在のVRChatでは各プレイヤーに対して「Trust Rank(Level)」と呼ばれる信頼度を表すステータスを設定しています。
このTrust Rankが「New User」以上になることで、初めて自分のアバターのデータをVRChat上にアップロードすることが許可されます。
新規プレイヤーのTrust Rankは「Visitor」からスタートして、1つ上のランクが「New User」です。
つまりまずは「New User」にランクアップすることを目指す必要があるわけです。
Trust Rankの確認方法
自分の現在のTrust Rankを確認する方法は、以下のとおりです。
デスクトップモードの場合ESCキーでメニュー(Launch Pad)を開いたあとSocialボタンをクリックします。
Socialメニューが開くので、自分の名前が表示されているサムネイルをクリックします。
自分のステータスが詳細表示され、盾の横に書いてあるのが自分のTrust Rankです。
他プレイヤーのTrust Rankは、ESCを押してメニューを表示している間にネームプレートの上に表示されているのを確認することができます。
Socialメニューで「In Room」に表示されたサムネイルから、1人ずつTrust Rankやその他の詳細を確認することもできます。
ちなみにVisitorからNew Userにランクアップした際は、VRChatアカウントで登録したメールアドレス宛に通知が来るので自分でこまめに確認していなくても大丈夫です。
Trust Rankを上げる方法
Trust Rankが上がる条件は公式に明示はされていませんが、基本的にはプレイ時間やフレンド数の増加などをもとに自動的に判断されると言われています。
つまり、まずは初心者なりにVRChatを色々と遊んでみる必要があるということです。
私の場合は4~5時間のプレイとフレンド2人くらいになった時点でNew Userにランクアップした記憶で、ランクアップの条件は思っていたよりもゆるい印象でした。
ただし、SteamアカウントやOculus(Meta)アカウントを利用してVRChatにログインしている場合は、ランクアップに通常より時間がかかるうえ結局VRChatアカウントを作成しないとコンテンツのアップロードはできないと言われています。
面倒に感じるかもしれませんが、アバターのアップロードを目指す場合は必ずVRChatのアカウントを作成しログインするようにしてください。
もしすでにSteamアカウントなどでしばらくVRChatをプレイしている場合でも、後からVRChatアカウントとの統合ができるので心配ありません。
アカウント統合手順は以下のサイトが参考になると思います。
https://www.proustite.com/archives/4374
Trust Rank上げにオススメのWorld
Trust RankがVisitorの間は気になったPublicのワールドを自由に転々と旅してテキトーに遊ぶのも悪くありません。
ただ、他プレイヤーとの交流を目指す場合は、以下のような日本人が集まりやすいと言われているワールドに行ってみるのも良いと思います。
(そもそも日本人はPrivateインスタンスにこもっていて、日本向け風のワールドでも外国人のほうが多いという説もありますが…)
[JP] Tutorial world
ポピー横丁-Poppy Street-
【JP】Qじゃぱん横丁【日本語話者向け】
逆に日本人同士だと、気を使い過ぎたり逆に気まずくなりそうな気がする方は
Japan Shrineに行ってみることをオススメします。
「Japan Shrine」というワールド名とは裏腹に出会うプレイヤーの大半は日本以外の海外の人が多く、なかでも中国人が多い印象です。
意外にも彼らはかなり高確率で日本語での会話ができ、こちらが日本人だとわかると歓迎モードでフレンドリーにコミュニケーションしてくれることがほとんどです。
特に日本のアニメ好きが多い印象があるので、共通の話題として理解できるとよりスムーズに会話ができると思います。
アニメがわからない場合でも「○○は日本語でなんと言いますか?」というような言語の教え合いなどで交流することもできます。
ほとんどの人は英語でも会話できるので、私の場合は逆に英語を教えてもらえる良い機会だと思っています。
ある程度会話していると向こうからフレンド申請をしてくれることが多いので、ある意味ゆるく付き合えるフレンドを気楽に増やすのに向いているワールドだと私は思っています。
ただしいずれのワールドもPublicインスタンスであれば狂人が現れたりカオスになることも珍しくありません。
笑って許せる程度の状況であればそれで良いですが、どうしようもなければ別のインスタンスにサッと移動する心の余裕は持っておきましょう。
VRChat Plus契約(選択肢の1つ)
一切の手間をかけずに今すぐアバターのアップロードをしたいという場合は、有料サービスのVRChat Plusを契約するという手段もあります。
※この項目はあくまで各人の判断で選択可能な方法の1つであり、必須の条件ではありません。
VRChat Plus契約によるTrust Rankへの影響については、以下のVRChatの公式ドキュメントで言及されています。
ざっくり言うと
- VRChat Plus契約によってTrust Rankにかかるブーストの影響は一度限りのものだが契約解除した後も消えずに残る。
- ブーストの度合いは比較的軽微で「diminishing returns(収穫逓減)」の性質を持つ。
というものです。
diminishing returnsというのは、ブーストの影響が低ランク時ほど強く高ランク時ほど弱くなるということです。
つまりVisitorのような低ランク時はほぼ確実にNew Userにランクアップする影響を与えるが、UserやKnown User時には基本的にランクアップに影響しないということです。
興味のある方はVRChat公式ページで簡単な契約手順と特典内容が紹介されているので確認してみてください。
費用は現時点で9.99ドル(約1,400円)/1ヶ月で、決済はSteamやOculus(Meta)を通してできるようです。
最初の1ヶ月だけ利用して、すぐ解約するという使い方もできなくはないですね。
導入したいアバターのデータ
現在のVRChat環境では初めてアバターをアップロードする場合、基本的にはBOOTHという販売サイトから好みのアバターを見つけることになると思います。
サイトの利用にはpixivと共通のアカウントでログインすることが必要ですが、今後も頻繁に使うサイトになると思いますのでアカウントが無い場合は作成しておきましょう。
このサイトでは高クオリティなモデルの有料アバターはもちろんですが、無料で公開されているアバターも多数あります。
VRChatで利用できるアバターを検索する際は、検索キーワードに「VRChat 無料」などを入れ
絞り込みのカテゴリに「3Dモデル」サブカテゴリに「3Dキャラクタ」を入れて検索すると
いっぱいヒットします。
私の場合は↑のMinecraftスキンがそのまま使える無料アバターを利用させていただいています。
https://sumikkoya.booth.pm/items/3091554
アバターを選ぶ際に注意すべき点として
- VRCSDK3(Avatars3.0)に対応したモデルを選ぶ(VRCSDK2は非推奨)
- .unitypackageもしくは.fbxファイルが必要
- .vrmファイルは別途変換作業が必要なので初心者に向かない
- Dynamic Bone(揺れもの規格)は変換必須なので初心者に向かない。今後はPhysBones規格に移行予定。
- できればQuest(Fallback)対応モデル同梱が嬉しい
以上に気をつけてください。
VRCSDK3(Avatars3.0)については記事の後半でもう少し詳しく説明しますが、VRCSDK2という古い規格のみ対応のモデルはVRChat公式に非推奨とされており避けるべきです。
.vrmファイルは主にVRoid Studioという別のサービスで制作されたモデルデータであり、現状のVRChatではデータをそのままアップロードすることはできないため初心者が手を出すべきではありません。
Unity Hub
Unity Hubは、VRChatでアバターをアップロードするうえで必須となるUnityというソフトウェアを総括的に管理できるようになるソフトです。
VRChat公式からも導入を強く推奨されており、Unityのバージョン管理や初回のライセンス認証(無料)などがスムーズに行えるため必ずインストールしてください。
Unity Hubをインストール
Unity Hubのダウンロードは以下のリンクから
https://unity3d.com/jp/get-unity/download
「Unity Hubをダウンロード」ボタンをクリックし、ダウンロードできたらUnity Hubのインストールを完了させてください。
Unity Hubのインストールが完了したら、次に「Unity IDの作成」と「無料の Personal ライセンスを取得」する必要があります。
Unity IDの作成
さきほどUnity Hubをダウンロードしたページ
https://unity3d.com/jp/get-unity/download
の画面右上にある人型のアイコンをクリックすると
「Unity IDを作成する」というボタンが出てくるのでクリックしてUnity IDを作成してください。
(Unityのトップページで右上のアイコンから「Creat a Unity ID」でも同じ画面になります。)
ID作成の際、VRChatでアバターをアップロードするだけのためにUnityを利用する場合はフルネームの項目にわざわざ本名を入れなくても大丈夫です。
各項目に入力した情報は後から変更できますが、ユーザーネームはUnityコミュニティの中で公開されるため公序良俗に反するような名前にはしないほうが良いです。
もしUnity IDの作成手順がわからない場合は以下のサイトが参考になると思います。
https://shibuya24.info/entry/unity-id
無料のPersonalライセンスを取得
Unityを利用するためにはライセンス認証が必要となりますが、VRChatでアバターをアップロードするだけであれば「無料のPersonalライセンスを取得」するだけでOKです。
ライセンス認証の手順はUnity公式サポートページの下のほうにある
「Unity Hub 3.0 のオンラインアクティベーション手順:」から下を参考にしてください。
今回の場合は「無料のPersonalライセンスを取得」だけすれば良いので、「シリアル番号による認証」と「ライセンスリクエストによる認証」は必要ありません。
記載されている手順のとおりですが、あらかじめUnity Hubのインストールと起動、Unity IDの作成が完了している必要があるので順番に完了させてくださいね。
指定バージョンのUnity
VRChatでアバターをアップロードする際に必須となるのがUnityというソフトウェアです。
しかし気をつけるのは、使用するUnityのバージョンはVRChatが指定しているバージョンと完全一致している必要があるということです。
一般的なソフトであれば最新バージョンほど改善されていて良いという印象がありますが、VRChatで使う場合は指定バージョンより古くても新しくても正常に動作しません。
バージョンの文字が一文字でもVRChatの指定と違っていたらダメということです。
VRChatが指定するUnityのバージョンというのはVRChatのアップデートによって今後変更される可能性がありますが、以下のページから現在使うべきバージョンを確認して直接インストールすることができます。
https://docs.vrchat.com/docs/current-unity-version
Current Unity Version
The current Unity version in use by VRChat is Unity 2019.4.31f1.
という部分が現在使うべきUnityの指定バージョンを記載している部分で、この記事の執筆時点では「2019.4.31f1.」というバージョンを使う必要があるということです。
※もしリンク先のページでバージョン番号が変わっていたら、それが現在の指定バージョンです。
バージョン番号の「2019.4.31f1.」の部分がリンクになっているので、クリックして次のページへ進んでください。
※ここから先の手順はUnity Hubのインストールが完了している必要があります。
一番上にある
Unity 2019.4.31
Install this version with Unity Hub.
という箇所の「Unity Hub」の部分がリンクになっているので、クリックしてください。
「Unity Hubを開きますか?」というポップアップで確認画面が出てくるので「Unity Hubを開く」ボタンをクリックすると、Unity Hubが主体となって指定バージョンのUnityのインストールが始まります。
インストールの際に「モジュールを加える」というポップアップが出ると思いますが、
- デフォルトでチェックの入っている「Microsoft Visual Studio Community 2019」はそのまま
- 「Android Build Support」は、今後アバターをQuest対応もしたい場合はチェックを入れておく
その他は特に変更せず、デフォルトのままインストールすればOKです。
指定バージョンのUnityのインストールが完了したら、とりあえずそのままにしておきます。
指定バージョンのVRCSDK3
VRCSDK3とはUnityに導入するプラグインのようなもので、VRChatでアバターをアップロードする際には必ず必要になるものです。
VRCSDK3もUnityと同じようにVRChatが指定しているバージョンのものを使う必要があり、古いとダメです。
指定バージョンのVRCSDK3は以下のページでダウンロードできます。
https://vrchat.com/home/download
VRChatのIDでログインが必要となるので、ログインします。
画面右側にある「Download SDK3 – Avatars」というボタンをクリックして、ダウンロードします。
Unityを使う際にはここでダウンロードした「VRCSDK3-AVATAR-2022.07.26.21.45_Public.unitypackage」というVRCSDK3のファイルが必要になるので、後からでも見つけられるフォルダに保存しておきましょう。(ファイル名の数字はバージョン名によって変わります)
VRCSDK3はVRChat公式がリリースしているものなので、UnityのようにVRChatに対応していない新バージョンがリリースされるということは原則ありません。
今後VRChat本体のアップデートがあった場合は、VRCSDK3のバージョンに変更がないか上の手順で一応確認したほうが良いと思います。
ただし、以前使われていたVRCSDK2というものは古い規格のものであり現在は非推奨となっているので間違えて使わないようにしましょう。
おわりに
お疲れ様でした。
ここまで準備ができたら、あとは実際にUnityを使ってアバターのアップロードを済ませるだけです。
私が実際にアップロードしたアバターを具体例として、Unityでのアップロード手順も別途記事にしましたのであわせてご確認ください。
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