この記事では前回の準備編に続いて、UnityでVRChatにアバターをアップロードする際の手順を説明していきます。
用意したアバターのモデルによって必要な作業が多少異なる可能性はありますが、おおまかな手順は共通かと思いますので1つずつ順番に操作していきアバターのアップロードをしてみましょう。
※基本的にはモデルに同梱された説明書の手順を優先してください。
VRChatにアバターをアップロードするためには色々と準備が必要なので、準備がまだできていない方は以下の記事を参考にしてください。
VRchat Creator Companion(VCC)について
2023年以降はVRchat Creator Companion(VCC)という統合ソフトを経由してUnity HubやUnityを起動する方法が正式なアップロード手順となります。
VCCではVRCSDK3を別途ダウンロードする必要がなく、VCC内で常に最適なバージョンを選択して導入できます。
逆に言うとVCCを使用する場合は、自分でダウンロードした「.unitypackage」形式のVRCSDK3を重複して導入してしまうとUnityのプロジェクト自体を破壊する恐れがあるのでやめましょう。
VCCを使用する場合は、以下の2点に注意してください。
- VCCから操作を始める(結果的にUnity Hubが連動する)
- VRCSDK3はVCC内に同梱されているため、重複してインポートしてはいけない
その他の手順については今のところ変更点はありません。
Unity Hubの操作
Unity Hubを起動
まずはUnity Hubを起動します。
プロジェクトの保存フォルダ変更方法
これからUnityの新規プロジェクトファイルを作成するわけですが、Unityのプロジェクトファイルは1つでも簡単に数GBの大きさになってしまいます。
もしUnity Hub本体のインストール先が空き容量の少ないSSDだった場合は、この時点でプロジェクトを保存するフォルダだけでも空き容量に余裕のある別のHDD等に変更することをおすすめします。
プロジェクトの保存フォルダ変更の方法は以下のとおりです。
左上にある歯車アイコンをクリックするとPreferencesのポップアップが表示されます。
左側がProjectsを選択している状態で、右側のProject locationの下にある「Default location」の枠をクリックして好きなフォルダの位置を選択するだけです。
今後の新規プロジェクトはここで設定したDefault locationのフォルダの中に、プロジェクト名≒フォルダ名のような形で保存されていきます。
新規プロジェクトの作成
プロジェクトの保存フォルダに問題がなければ右上にある「New project」をクリックして新規プロジェクトの作成を進めます。
一番上に表示されているNew Projectの下にある「Editor Version:」右の文字列はUnityのバージョンのことなので現在のVRChat指定のバージョンになっているか必ず確認してください。
真ん中に2D、3D、3D with Extraなどのプリセット項目がありますが、「3D」を選択したままにしてください。
Unityの指定バージョン確認方法は以下の記事を参照してください。
もしUnityのバージョンがVRChat指定のものと違っていた場合はEditor Versionの部分の枠をクリックするとプルダウンが表示され、各バージョンを選択できるのでVRChat指定のバージョンに変更してください。
右下にあるPROJECT SETTINGS内のProject nameは、今回のプロジェクトが何のプロジェクトなのか自分が後から見たときにわかりやすい名前に変更してください。
Locationは保存先に問題なければそのままでOKです。
準備が済んだら右下の「Creat project」をクリックして、しばらく待ちます。
Unityの操作
VRCSDK3のインポート
Unityの新規プロジェクトが作成されると、このような画面が表示されます。
この状態で、まずはVRCSDK3をUnityに導入(インポート)します。
Unityのバージョンと同様にVRCSDK3も必ず現在のVRChat指定のバージョンを使用してください。
VRCSDK3の指定バージョン確認方法は以下の記事を参照してください。
事前に保存しておいた「VRCSDK3-AVATAR-2022.07.26.21.45_Public.unitypackage」というファイルをUnityの下側にあるAsssetsという枠の中にドラッグ&ドロップします。
※VRCSDK3のバージョン番号は今後変わっている可能性があります
もしドラッグ&ドロップがやりづらい場合は、UnityメニューのAssets→Import Package→Custom Package…をクリックしてからファイルを選択してVRCSDK3のインポートをしてもかまいません。
※ドラッグ&ドロップかメニューから選択か、どちらか1回のみでOK。2回やる必要はありません。
このようなポップアップが表示されるので、何もいじらずに(全部チェックが入ったまま)右下にある「Import」をクリックし、読み込みが終わるまで数分間待ちます。
読み込みが終わると、画像のような感じでAssetsのなかに「VRCSDK」というフォルダが新たに作成されます。
これでVRCSDK3のインポートは完了です。
アバターモデルのインポート
次にアップロードしたいアバターのモデルをUnityにインポートします。
今回は以下のMinecraftのスキンがそのままVRChatで使えるモデルを使用します(導入手順は各モデルに同梱されている説明書を優先してください)
Boothからダウンロードしたファイルの中にある「Skin_Avatar_v0.01b.unitypackage」というファイルをUnity下側のAssetsにドラッグ&ドロップします。
※ファイル名のバージョン番号は今後変わっている可能性があります
VRCSDKのインポート時と同じようなポップアップが表示されるので、こちらも全部チェックのまま右下の「Import」をクリックして少し待ちます。
読み込みが完了すると、このモデルの場合はAssetsの中に「Skin_Avatar」というフォルダが作成されます。
Assetsの中にある「Skin_Avatar」をダブルクリックして、フォルダの中身を表示させます。
このモデルの場合は「Skin_Avatar.fbx」というものがメインで使うモデルのデータです。
※「Skin_Avatar_Quest.fbx」というQuest対応のモデルも同梱されていますが、ややこしくなるので今回は使いません)
マイクラモデル以外の場合でも同様に「.fbx」か「.prefab」というモデルのデータを使うことになると思います。
Assets内のサムネイル下ではファイル名が省略されていますが、選択したファイルの名前はAssetsの最下段の枠で確認しましょう。
マイクラスキンの差し替え
この手順は今回のマイクラモデル独自の手順なので、その他のモデルでは不要です。
このマイクラモデルはスキンを自由に差し替えできるのが強みですので、自分で用意したマイクラスキンのpngファイルを同フォルダにドラッグ&ドロップでインポートします。
※Nova Skin等で作成した64×64のSteve用スキンのpngファイルがそのまま使えます。
今回はパブリック公開されていたマイクラの犬スキンを試しにインポートしました。
このマイクラモデルの場合は説明書にも記載がありますが、犬スキンのpngファイルに対してUnity右上にあるInspectorの中の設定を以下のとおりいじる必要があります。
・Streaming Mip Mapsのチェックボックスにチェックを入れる
・Generate Mip Mapsのチェックボックスを外す
・Filter Mode を Point(no filter)に変更
・Default内の項目変更
Max Size 64
Resize Algorithm Mitchell
Format RGBA 32 bit
設定を変更したら、右下にある「Apply」ボタンを必ずクリックしてください。
次は「Skin_Avatar.mat」を選択して、右上のInspectorに画像のような画面を表示させます。
右上に表示されているデフォルトの女性系スキン画像の下にある「Select」というボタンをクリックします。
Select Textureというポップアップが表示されるので、自分で用意したスキンをクリックして選択してください。虫眼鏡の右に文字を入力するとフィルターでファイル名の絞り込みができるので便利です。
選択が完了したらSelect Textureの画面は右上の×をクリックして閉じます。
この作業で犬スキンのpngファイルを選択したことで、マイクラモデルに適用されるテクスチャーが犬スキンのものに切り替わります。
モデルをHierarchyに読み込む
次にAssets内の「Skin_Avatar_v0.01.unity」を左上のHierarchy(ヒエラルキー)ウィンドウの空白部分にドラッグ&ドロップします。
※マイクラ以外のその他モデルでは.fbxか.prefabファイルだけの場合もあるかもしれません。
するとUnity真ん中のScene内に2つのモデルが表示されます。
ズームはマウスホイールで、カメラ位置や向きの変更はマウスホイールクリックや右クリックを押しながらドラッグで可能です。
女性系モデルのままになっているQuest用モデルは今回使いませんし、残しておくと操作を間違えかねないので左上のHierarchyで「Skin_Avatar_Quest」を右クリック→Deleteをクリックで削除してしまってください。
画像のようにHierarchyにSkin_Avatarだけが残っていればOKです。
VRChat SDKコントロールパネルの操作
次にUnityメニューのVRChat SDK→Show Control Panelをクリックします。
VRChat SDKのウィンドウが表示されるので、Authenticationの項目でUsername/EmailとPasswordにVRChatで普段使っている自分のアカウントのものを入力し、「Sign In」をクリックしてログインします。
ログイン後、画像のように「Allowed to publish avatars」と書いてあれば、アバターのアップロードが許可されている状態だと確認できます。
次に「Builder」をクリックして画像のような画面を表示させます。
モデルによってはこの画面で黄色背景のビックリマーク(感嘆符、エクスクラメーションマーク)や赤背景のビックリマークが出たりするかもしれませんが、黄色背景は修正はしなくても大丈夫な警告、赤背景は修正しないとアップロード不可な問題を表しています。
今回のマイクラモデルの場合は何も問題がなく、Overall PerformanceもExcellentと表示されているとおり負荷の軽い他者にも優しいモデルということがわかります。
表示内容を確認したら一番下にある「Build & Publish for Windows」をクリックして、しばらく待ちます。
※VRChat SDKのウィンドウはもう閉じて大丈夫です
するとUnityの真ん中にGameというタブが作られ、その中にアバターの名前などを設定する画面が表示されます。
Avatar Nameの項目に今回のアバターの名前、Descriptionにはアバターの概要説明を入力してください。ここでも日本語ではなくアルファベットのみ使ったほうが無難だと思います。
※ここで入力したアバター名がVRChatゲーム内でアバターを選ぶ際に表示されます。
Content Warningsの項目は裸体性的表現や流血ゴア表現、暴力表現、その他職場での閲覧に適さない表現などがある場合にチェックを入れますが、そもそもそのような表現はVRChatに適さないのでチェックは入れませんし、そのようなモデルはアップロードしません。
Sharingの項目は公開範囲を指定するもので、ゼロから自分が作ったモデル以外は権利関係に問題が生じるので基本的には必ず「Private」のほうにチェックを入れたままにしておいてください。
Publicにチェックを入れてしまうとアップロードしたモデルを誰でも使用可能になってしまいます。
一番下の「The above information is accurate and I have the rights to upload this content to VRChat.」という文章を確認してチェックを入れます。
この文章は「上記の情報は正確であり、私はこのコンテンツをVRChatにアップロードする権利を持っています」という意味ですので、版権モノなど著作権侵害につながるようなモデルや不正に入手したデータなどのアップロードはダメです。
最後にUploadボタンのグレーアウトが解除されクリックできるようになるので、クリックします。
これでUnityからVRChatへのアバターアップロードが完了です。
アップロードしたアバターは、VRChatゲーム内のAvatarsの中で「My Creations」というカテゴリに表示されるのでさっそく選択して遊んでみましょう。
VRChat SDKのコントロールパネルを再表示する方法
最後に、ちょっとした補足です。
VRChat SDKコントロールパネルの「Build & Publish for Windows」をクリックした後に、何か設定忘れやミスに気づいたけどVRChat SDKの画面はもう表示されないし、元の画面にも戻れないということがあるかと思います。
そんなときはUnityの上のほうにある▷のPlayボタンをクリックするとGameタブでの表示が解除され、Sceneタブを選択し直せば元の画面に戻せます。
その後修正が済んだら、またUnityメニューのVRChat SDK→Show Control Panelをクリックすれば、VRChat SDKでの作業が再開できるようになります。
コメント