この記事ではPath of Exile(以下、PoE)において人気のあるCast On Critical Strike Support(以下、CoC)を用いたビルドで絶対に必要になるクールダウンとブレイクポイントの計算方法について解説します。
執筆時のPoEのバージョンは3.11.0ですが、計算方法さえ覚えてしまえば今後もしスキルの仕様変更やNerfなどがあっても自分で答えを導き出すことができるようになりますよ!
クールダウンとブレイクポイント一覧
まず、とにかく先に答えを知りたい方向けにCoCのクールダウンとブレイクポイントの一覧を表にしておきます。
理論上、100%Hit & 100%Criticalが前提の計算です。
%ICRS | 仕様上のCDT | 真のCDT | 最大Proc数/Sec | 最適なAPS(1skill) | 最適なAPS(2skills) |
---|---|---|---|---|---|
0% | 150ms | 165ms | 6 | 6.06以下 | 12.12以下 |
14% | 132ms | 132ms | 7 | 7.57以下 | 15.14以下 |
52% | 99ms | 99ms | 10 | 10.10以下 | 20.20以下 |
※ICRS=Increased Cooldown Recovery Speed
※CDT=Cooldown Time
※Proc・・・CoCにリンクしたSkillがTriggerされること
※Sec=Second(秒)
※APS=Attack per Second
現在のPoEではCoCのブレイクポイントはこのようになっていますので、CoCをトリガーするためのスキル(多くの場合Cyclone)のAPSをこの数字に限りなく近づけるとDPSを最大限伸ばすことができます。
もちろん0.01秒でも最適なAPSを超えてしまうと大幅なDPS減となってしまうので、超えてしまうくらいなら多少遅いほうがマシです。
CoCで2つのskillをトリガーさせる場合はやや複雑に感じますが、
1回目のcrit→1つ目のskillがtrigger
2回目のcrit→2つ目のskillがtrigger
3回目のcrit→1つ目のskillがCooldown完了していればtrigger
4回目のcrit→2つ目のskillがCooldown完了していればtrigger
というように3回目のCritを1つ目のskillのCooldown完了後のタイミングに合わせることになります。
CDTが2種類あるのは意味不明だと思いますが、詳しい話は記事の後半で解説します。
CoC Ice Novaとは?
そもそもCoC Ice Novaって何?という方向けに軽く説明します。
基本的には鎧の6Lで「CoC-Cyclone-Ice Nova-Increased Critical Strike Support-Support-Support」とgemをリンクさせたものがメインのダメージソースになります。
そしてIce NovaがFrostboltのProjectileを起点に(最大2個まで)Ice Novaを発動することができるという特性を活かすために、Frostboltを撒き散らしながらIce Novaを連発します。
Frostboltを手動でcastしていてはトロいですので、自動でtriggerするためにCoCと同様の挙動でMelee Critical Strike時にソケットに入れたCold SkillをTriggerすることのできる「Cospri’s Malice」というユニークのOne Handed Swordを1HなりDual Wieldで合わせて使用することがほとんどです。
鎧の6LにIce NovaとFrostboltの両方を入れても一応は機能しますが、リンクできるSupport Gem数が減るうえに後述するCoCの仕様により大幅にDPSが下がってしまいます。
さらに追加でVortexはFrostboltのProjectileを起点に(最大5個まで)発動できるうえにInstant SkillですのでCoCやCospri’s Maliceとは別枠でもCycloneを止めることなく使用することができます。
Vortexはプラスαのダメージーソースにもなりますし、Vortex展開時にHit判定があるためCurse On HitをリンクしてCurseを付与することもできます。
ただしほとんど床が見えなくなるうえ、大したダメージ量ではないので嫌う人も多そうです。
Vortexを使う場合はMoveのための左クリックにセットして歩くたびに自動で発動するようにしている人が多いと思います。
Criticalを主体に戦うビルドであるため、Criticalに特化しやすいShadowのAssassinアセンダンシーを用いることが多いです。
CoCとCospri’s Maliceの仕様
CoCとCospri’s Malice(以下、Cospri)の制約や仕様については、英語がある程度わかる方であればこのYoutube動画の説明が理解しやすいと思います。
大事なところを抜粋していきます。
CoCとCospriは1回のcritで1つのspellをtriggerする
たとえば、CoCに5つのspell gemをリンクしていても、1回のcritでtriggerされるのは1つ目のspell gemだけということです。
2回目のcritで初めて2つ目のspell gemがtriggerされます。
Cospriも最大3ソケットが使えますが、同様の仕様です。
使うSpell gemが多いほどtriggerに必要なcrit数が増えていくため、1つのCoCやCospriに対して1~2個のSpell数に抑える場合がほとんどです。
CospriをDual Wield(二刀流)する場合は別のSpellを使うべし
Cospriを二刀流で使う場合は、最大でメインハンドで3ソケット、オフハンドで3ソケットを使うことができます。
しかし残念ながらメインハンドとオフハンドで同じspell gemをセットしているとクールダウンタイムが共有されてしまい無駄になるので別の種類のgemを使いましょう。
クールダウンの仕様については後半詳しく解説しますが、CoCの非常に悩ましいところです。
CoCとCospriはクールダウンを共有しない
ここがCospriが重宝される理由の1つです。
たとえば鎧のCoCでIce NovaをTriggerしても、同時にCospriでIce NovaをTriggerすることができるということです。
この仕様によりIce Novaを倍の数で連発することができるわけで、これがCoC Ice Novaが強い理由の1つでもあります。
CospriのDual Wieldでは最適APSの2倍を目指し最大trigger数を狙う?
これはCospriを二刀流で使用する場合、2つのCospriを合わせて1つのCoCリンクのように扱う仕様が影響してきます。
たとえば2つのCospriに3つずつspell gemをフルにセットしていた場合、triggerされるspellの順番は
- メインハンドの1つ目のspell
- オフハンドの1つ目のspell
- メインハンドの2つ目のspell
- オフハンドの2つ目のspell
- メインハンドの3つ目のspell
- オフハンドの3つ目のspell
となるそうです。
つまりメインハンドに1つのspell、オフハンドに1つのspellと限定したとしてもCoCに2つのSpellをリンクしているのと同様の扱いになるということですね。
「であればAPSを倍にしてオフハンド1つ目のspellも最速でtriggerできるようにしよう」という話です。
しかし、あくまでメインのダメージソースは鎧の6L(1spell)だと考えるとAPSを倍にしても6L側のtrigger数は増えない点は非常に微妙です。
APSを倍化するにはかなりの投資が必要で費用対効果が見合わないと思うので個人的にはおすすめしませんし、その分でCrit Multiplierや%Maximum Lifeなどを積んだほうがバランスが良いと思います。
triggerされるSpellの順番はソケットの位置で決まる
この仕様は単純ですがかなり重要です。
なぜなら極力Frostboltを投射してから、そのFrostboltを起点にIce Novaを発動させたいからです。
上の画像のとおり、CoCやCospriにおいてtriggerされるspellの順番は上から下に向かっていきます。
また、Youtubeの動画ではRightやLeftというややこしい表現をしていますが、Cospriに関しては前述のとおりメインハンド→オフハンドと順番にtriggerしていく仕様があります。
さらにややこしいですが、PoEにおけるメインハンドはインベントリを開いて左にあるスロットで右手に武器を持ち、インベントリの右側がオフハンドで左手です(盾も持てる)。
まとめると
- メインハンドのCospriの一番上のソケットにFrostbolt
- オフハンドのCospriの一番上のソケットにIce Nova
- 鎧の6Lでは画像で一番数字が低い場所にIce Nova
というセッティングを最優先にする必要があります。
ちなみにSpellではないSupport GemやCycloneはtriggerとは無関係なため、ソケットカラーの問題でやむを得ない場合にSpell Gemが下の位置になっても問題ありません。
ブレイクポイントに極力APSを近づけよう、でも絶対超えちゃダメ
これは冒頭の項目でも書いたことですが、後述するクールダウンタイムの計算方法に深く関係している問題であり何も考えずにIncreased Attack Speedを積んでいると大幅にDPSが減少してしまいます。
クールダウンタイムの仕様
いよいよCoCとCospriのクールダウンタイムについて詳しく解説していきます。
(すべてHit100% & Crit100%が前提の話になります)
まずCoCとCospriはどちらも1回spellをtriggerした後には150msのクールダウンタイムがあります。
1回目のspellをtriggerしたら最短でも150msが経過しないと、その間に何回critが発生しようと2回目のspellをtriggerすることはないということです。
※1sec(1秒)=1,000ms
これだけならまだ難しい話ではないのですが、なんとPoEのサーバーの「tick rate」というものが複雑に絡み合ってきます。
このtick rateは簡単にいえばPoEのサーバーがゲーム上で起きた変化を確認する間隔であり、33msごとの周期となっています。
仕様上はCoCがtriggerし、クールダウン150msが経過した直後の151msのタイミングでcritが発生すれば2回目のtriggerがあるはずです。
しかしサーバー側はtick rateの問題で4回目のtickでは33ms×4tick=132msのタイミングではクールダウンが終わっていないと判断し、5回目のtickである33ms×5tick=165msのタイミングで初めてクールダウンが終わったと認識するわけです。
仕様上のクールダウン150msと実際のクールダウン165msの間には、15msのギャップが存在するわけでこれがCoCのBreakpointを複雑にしている原因となっています。
サーバーがクールダウン終了を認識してくれなければ次のspellはtriggerしませんので、当然165ms周期のほうにAPSを調整する必要があるわけです。
次のステップです。
CoCやCospriのCooldown timeは「Increased Cooldown Recovery Speed (ICRS)」というmodを装備につけることで短縮することができます。
現状このmodはshper modかcrusader modのsuffixとしてbelt(ilv84以上)かboots(ilv80以上)に付与することができます。
さてこのICRSですが、前述のserver tick rate 33msの制約があるためtick数を基準にクールダウンタイムの短縮具合を考える必要があります。
0% ICRSでは5回目のtickで初めてクールダウン終了を認識していますが、より早い間隔の4回目のtickでクールダウン終了を認識してもらうためには4回目のtick(132ms)直前もしくは同時までにクールダウンが終了している必要があります。
この調整で必要になる値が、14% ICRSとなるわけです。
逆に言うと0~13% ICRSではtick rateのタイミングが変わらないため無意味です。
※JunのveilクラフトでもICRSが付与できるようですが、1部位では14%に届きません。
通常まずは14% ICRSを確保していれば、CoC Ice Novaにおいてはかなりの火力を得ることができます。
ICRSがクールダウンタイムに対してどのような計算方法になっているのかは最後のほうで説明します。
さらに上を行く者に向けて、3回目のtick(99ms)でクールダウン終了を認識してもらうには52% ICRSが必要になります。
ただし、装備だけでこの52%を実現するのは不可能です。
そこで登場するのがAwakened Cast on Critical Strike Support Gemです。
原則このGemの最大Lvは5ですが、1Lvごとに10~22%ICRSと成長させることができます。
ただしこのgemを入手できるチャンスがあるのはエンドコンテンツもエンドコンテンツなうえ、トレードで手に入れるにもなかなか高価です。
ちなみにICRSが増加するのはこのgemでサポートされたスキルだけ(鎧の6L側)ですのでCospri側とのズレが生まれますが、メインのダメージソースは6Lの方ですしCospri側は最低でも2スキル使用だと思うので問題ありません。
同時に得られる「42% More Spell Damage」が強力なうえ、新しいブレイクポイントになると目に見えて火力がアップするので資金が十分に貯まったらぜひお試しあれ。
%ICRSの計算方法とクールダウン&ブレイクポイントの導き方
クールダウンの計算方法については、PoEの公式フォーラムの書き込みを参考にしています。
前述のserver tick rateの存在がただでさえややこしいのに、これまたICRSの計算もちょっとややこしいです。
フォーラムの書き込みにもあるとおり”ICRSは「Increased Cooldown Recovery Speed」であって「Cooldown Reduction」ではない”ということが重要になります。
まずは14% ICRSの場合を例に解説します。
単純にCoCやCospriのクールダウンである150msに「100%-14%=86%」で86%をかけた129msになると考えていると特に52% ICRSの場合に辻褄が合わなくなります。
正しい計算方法は「Cooldown×(100/(100+ICRS)」となります。
つまり順番に計算していくと
150ms×(100÷(100+14 %ICRS)
=150ms×(100÷114)
=150ms×0.8771929824561404
=131.5789473684211ms
割り算時の少数については割り切れているのか微妙なところですが、ms単位で考えるために最終結果が131.5msであれば132msに切り上げをします。
14% ICRSでCoCやCospriのクールダウンタイムが132msになるということであれば、この記事の冒頭で用意した表やserver tick rateとのギャップを説明した箇所と値が一致しましたよね。
この計算方法さえ覚えておけば将来的にCoCのクールダウンタイムが200msにNerfされたりしても、数字を入れ替えるだけで実際のクールダウンタイムを計算することができます。
そしてこのCoCのクールダウンタイムを元に、たとえばCoCのtriggerをするためのCycloneのAPSを調整するわけですが、その計算方法は以下のとおりです。
1,000ms÷132ms=最速7.575757575757576APS
これは”1秒間(1,000ms)のなかで132msのクールダウンを終えたと同時にCoCをprocすることのできる最速のAPSを求めています。
ゲーム内で表示できるAPSの値は7.57の部分までですので、ここで切り捨てする必要があります。
APS7.57よりも早いと132msのクールダウンが終わっていないのに攻撃しているタイミングが何度か増え、むしろ次のserver tickまでのギャップが広がるためDPSが減少します。(実質空振り)
そのため14% ICRSにおけるAPS7.57というブレイクポイントを超えてしまうよりは、クールダウンが必ず終わってからprocさせる少し遅いくらいのAPSのほうがマシとなるわけです。
同様に52% ICRSの場合も計算すると
「Cooldown×(100/(100+ICRS)」ですので
150ms×(100÷(100+52 %ICRS)
=150ms×(100÷152)
=150ms×0.6578947368421053
=98.68421052631579ms
小数点以下は切り上げしますのでクールダウンタイムは99msになります。
1000ms÷99ms=最速10.1010101010101APS
こちらも切り上げて最速10.10APSとなるので、52% ICRSにおいてはこの数字以下のAPSに調整することになります。
APSの確認方法
CoCやCospriのAPS(Attack per Second)を調整するうえで確認すべきは、実際にCriticalを発動させるMeleeスキルのAPSです。
ゲーム内でキャラクター画面(デフォルトCキー)を開いたOffenceタブでAPSを確認することができますが、通常攻撃を選択した状態のAPSを見ても意味はありません。
多くの場合CoCではCycloneを使いますが、その場合はCycloneのAPSを確認します。
スキルアイコンの一覧のなかにあるCycloneのアイコンを一度クリックすることでCycloneを中心にしたステータスが確認でき、そこで初めてCycloneのAPSを確認することができます。
画像は14% ICRSを装備したキャラクターなのですが、CycloneのAPSは6.67となっています。
この記事では14% ICRSならばAPS7.57に近いほど良いと説明していたはずなのに、遅すぎるのでは?と思いますよね。
ここで考えておかないといけないのが、ShadowのアセンダンシーであるAssassinでMistwalkerを取得している場合です。
MistwalkerではCrit時に50%の確率でElusiveのBuffを得ることができ、
Elusive中には15%のincreased Attack and Cast Speedを得ます。
※過去のバージョンでは20%のときもあったので気をつけてください
このAttack SpeedへのBuffは当然CycloneのAPSにも影響を与えます。
もちろん私のキャラクターもこのElusiveでのスピードBuffがある状態を前提としてCycloneのAPSを調整していたため、ElusiveがあるときにはAPS7.52となります。
最適なAPSが7.57以下ですので、バッチリです。
何度かギリギリの調整を試みましたが、この状態から1%でもSpeedを増やしてしまうとAPS7.57を超えたと思うのでこれが限界のはずです。
ちなみにPath of Building(PoB)である程度APSをシミュレーションすることができますが、なぜかPoBと実ゲーム内でAPSにズレが生じてブレイクポイントを超えてしまうことがあったので、必ずゲーム内で確認することをおすすめします。
気をつけるべき% Increased Attack Speedたち
先程のMistwalkerにおけるElusiveもそうですが、油断しているとAPSを超過してしまう「%Increased Attack Speed (IAS)」がついてきてしまうことがあります。
まずは必ず使うであろう「Cospri’s Malice」です。
このIASは8~14%までの可変値となっており、1HかDual Weildかによってこの武器のmodだけでも8%~28%まで幅があるのでよく考えて選ぶ必要があります。
そして忘れがちなのがDual Weild時には「10% more Attack Speed while Dual Wielding」というBuffがかかり劇的にAPSが上昇することを覚えておく必要があります。
みんな大好きクマちゃんヘルム?こと「Starkonja’s Head」は固定値で10% IASがついてきます。
固定値なので調整もしやすいですが、安くて強力なこのヘルムを使う可能性は高いと思うのでIASがついていることを忘れないようにしましょう。
パッシブツリーのなかにもIASはあります。
Marauder左上あたりにある「Retribution」です。
恐らくこのNotable Passives(ノータブルパッシブ)を取得してノードをつなぐことが多いのではないかと思います。
5%というささやかな数値ですが、この5%があるばっかりにブレイクポイントを超えてしまうということが無いように調整しましょう。
その他の箇所は意図的にスキルポイントを振らない限りは、自由にオンオフできるパッシブがほとんどだと思うので問題ないでしょう。
おわりに
とんでもなく難解な超長文になってしまった感はありますが、CoCやCospriの仕組みに関して「なぜそうなるのか」を理解するうえで自分にとっても良い機会だったと思っています。
これまでブレイクポイントの数字だけを覚えることに疑問を感じていた方や、これからCoCを使ってみようと考えていた方などの助けになれば幸いです。
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