この記事では強盗系FPSゲームの「PAYDAY2」をレビューします。
2011年発売の前作「PAYDAY The Heist」から約2年後の2013年に発売したPAYDAY2は、2024年現在も毎日数万人がプレイしている異常なほど息の長い人気タイトルで、私自身も累計2,500時間近くプレイしています。
いったいこのゲームの何がそんなに人を惹きつけるのかを紹介していきます。
ゲーム概要
どんなゲーム
PAYDAY2はどんなゲームかを一言で表すと、ゾンビゲーの超人気タイトル「Left 4 Dead 2(L4D2)」のシステムをベースにした強盗系FPSゲームというイメージです。
もっと平たく言うとオンラインマルチプレイ対応のCoop型PvEゲーム。
舞台はアメリカのワシントンDCで、基本的なノリは「金が必要なら銀行から奪えば良い、無事に金が手に入ったならそれが俺たちのPAYDAY(給料日)だ。」というものですが、物事はそう簡単には済みません。
銀行を襲撃したならば事件発生を感知した市民からの通報や警備員からの増援要請により、SWATやFBIをはじめとして謎の警備会社GenSecが派遣する超人的特殊部隊など、ありとあらゆる敵対勢力がプレイヤー側である強盗団PAYDAYギャングたちを全力で殺しにかかってきます。
そんな苦境に四苦八苦しながらも命からがら仕事をこなしては裏世界での名声を上げていき、さらなるビッグな仕事に挑むというのが本作のおおまかな内容です。
敵がゾンビではなく人間なので銃を撃ってくるという点でもL4D2とは大きな違いがあります。
プラットフォーム
現在対応しているプラットフォームは実質PCのみで、SteamやEpicでも購入可能です。
※海外向けにはXbox、PS3、PS4やNintendo Switchなど家庭用ゲーム機向けにもリリースされていましたが、開発放棄されているので存在しないものと思ったほうが良いです。
プレイ人数
プレイ人数は1~4人までです。
オフラインモードでソロの場合でも味方AIを3人連れて行くことができ、味方AIの性能は下手をすると人間のプレイヤーよりも強いくらいに調整されているので問題なくプレイすることができます。
オンラインでのマルチプレイ時でも、人が集まるまでは味方AIが代わりに戦闘に参加してくれるので人が集まらなくてゲームができないということはありません。
操作方法
コントローラーにも一応対応していますが、敵へのヘッドショットがかなり重要になるFPSゲームなので基本的にはキーボード&マウスで操作するのがおすすめです。
プレイヤーの操作は他のFPSゲームのプレイ経験があれば自然に慣れることができるもので、細かい部分で気になる点はキーバインドで好みに合わせて設定が可能です。
ゲームの流れ
ジョブ選択
まずはCRIMENET=クライムネットと呼ばれる裏社会の犯罪ネットワーク画面(ダークウェブのようなもの)で飛び交う、”契約者”からのジョブ=仕事の依頼を選んで請け負います。
契約者にはマフィアや政治家などヤバい人物たちが多数存在し、銀行強盗に限らずいろいろな無理難題を含んだ依頼が存在しますが、最初のうちはJEWELRY STORE=宝石店の襲撃などの比較的軽い仕事からこなすことになります。
宝石店の襲撃が軽い仕事って…と思うかもしれませんが、裏社会は怖い世界なのです。
ジョブの難易度は黄色のガイコツマークの多さで示されており、ガイコツのないNORMALからガイコツ6個のDEATH SENTENCE=死刑宣告までの7段階から選択できます。
最高難易度のDEATH SENTENCEは上級者でも1秒の判断ミスで全滅する可能性もあるほどのものなので、初心者はNORMAL~VERY HARD以下くらいでのプレイがおすすめです。
ジョブを選択したらロビーの公開設定やチームAIの参加有無など細かな設定をすることができます。
ちなみにジョブ選択の際には一覧画面から好きなジョブを好きな難易度で受注することもできますが、こちらから契約者に対して前金の支払いが必要になってしまいます。
CRIMENETで飛び交うジョブであれば種類と難易度がランダムな代わりに無料で受注することができるので、資金を節約したい序盤では目当てのジョブが見つかるまでボーっとCRIMENETを眺めてみるのもアリです。
ブリーフィング
ジョブに挑む直前のブリーフィング画面では計画内容を確認をします。BANK HEISTのようにザ・強盗なジョブもありますが、今回はよりベーシックなJEWELRY STOREの依頼を選択しました。
この画面では「アセット」で内通者に賄賂を渡して弾薬バッグの設置を依頼したり、「装備」で自分が持っていく銃やツールなどの最終確認ができます(マルチプレイ時は味方の装備も確認可能)。
ジョブの種類によっては「事前計画」という形で建物の設計図を見ながら、アセットの配置を細かく選択したりできるものもあります。
基本的にジョブの詳細や手順などについては、CRIMENETの管理者でありPAYDAYギャングの指導者でもあるBAIN=ベインがナビゲーションをしてくれます。ベインはこの世界でのコネや協力者も多く指揮官のような立ち位置にありますが、PAYDAYギャングですらその正体を知らないという謎多き男です。
作戦内容、目的の回収物などはジョブによって様々ですが、大きなカテゴリで分けるとLoud=ラウド、Stealth=ステルスという2つの作戦行動のどちらかを意識して準備することになります。
ラウドではドンパチ前提の力技で目的達成を、ステルスでは警備員などに見つからないよう最後まで隠密行動で目的達成を目指します。
ジョブ本番
店内侵入
ジョブの本番を開始すると、逃走用を兼ねたバン(ワゴン車)で目的の店まで送り届けられます。
BAINから作戦行動の開始を促されますが、JEWELRY STOREの場合は回収対象の宝石を指定数持ち帰れば目的達成となりその方法はプレイヤーに委ねられるのでラウドでもステルスでもOK。
ステルスには細かいルールがあり初心者が完遂することは実質不可能であり、個人的にはラウドこそがPAYDAYの醍醐味だと考えているので迷わず正面突破で店の内部に侵入します。
PAYDAYの特徴の一つに顔を隠すための仮面としてのマスクがありますが、PAYDAY2ではマスクを付ける前は一般人、マスクを付けたら危険人物という謎の掟があります。
しかし一般人状態ではほとんどの行動が制限されてしまうため、ラウドであれステルスであれマスクの装着をしてからが本番。
いざマスクを付けた状態で店内に入ると動揺した市民は逃げ出したり通報しようとしたりしますし、警備員も同様に通報を試みるか敵対し発砲してきたりします。
作戦開始
ここからは警察に通報しようとする市民を制圧したり警備員を始末したりしながら、ショーケースのガラスを割っては目的の宝石を回収するという強盗映画さながらの行動をこなしていきます。
今回は最初からラウドでドンパチするつもりでわざと制圧せずに放置しているので、店内突入から1分もしないうちに通報されて応援部隊を呼ばれます。
場合によっては鍵のかかった金庫にドリルを仕掛けて無理やりこじ開けることもあります。
アサルトに備える
市民らの制圧が間に合わず通報されてしまうと逃走用のバンが一時退却することで逃げ場を失ううえ、数十秒後からはSWATなどの本格的な襲撃(アサルト)が始まりドンパチとなるので、それまでに以下のような迎撃体制を整えておく必要があります。
■市民を結束バンドで拘束しておく
→アサルト開始までの時間を遅延させることができるうえ、仲間がダウンして収監されてしまった場合の人質交換の材料にも使えるので、意味もなく殺すと清掃料金を請求されるうえにBAINが激怒します。
■大きな宝石や現金などはバッグに詰めて遮蔽物のある場所にまとめておく
→バッグに詰めた戦利品は大きな荷物となり1人1つずつしか持ち運ぶことができず、重いものだと移動速度も落ちてしまうのでこれらを安全に回収できるように管理する必要があります。
SWATたちは常に隙を見てこれらのバッグを回収しようとしてくるので、持っていかれないように迎撃しながら逃走用のバンに運ぶまで死守することになります。
回収するバッグが多いとまるでバケツリレーのようになるのはPAYDAYあるあるです。
■それぞれのプレイヤーが持参した弾薬バッグや救急バッグなどをすぐに使えるよう事前に配置しておく
→基本的に弾薬バッグや救急バッグなどは出し惜しみせず、遮蔽物のある場所に予め配置しておいたほうが必要なときスムーズに活用できます。
たとえば自分の回復が必要になってから初めて救急バッグを配置するクセがついてしまうと、もっと早く必要だった味方がダウンしてしまったり、自分の回復にも間に合わないということが頻発します。
いかに使いやすい位置に配置しておくか、が特に戦闘が激化する高難易度では重要になります。
アサルト開始
通報からある程度時間が経つと画面右上に「/// POLICE ASSAULT IN PROGRESS ///」という黄色い帯が表示され、SWATらのアサルト開始が知らされます。
アサルト中は敵からの襲撃が本格化され全力でPAYDAYギャングたちを本気で殺しに来るので、基本的には作業の手を止めて迎撃に集中することになります。
この間は追加支援部隊がひたすら投入され続け激戦を強いられるうえに人質交換の余地もないため、非常に緊張感の高い時間を耐える必要があります。
戦利品の回収
しばらくすると逃走用のバンが戻ってくるので戦利品を詰めたバッグを運び入れるのですが、行動すべき隙は犠牲の増えすぎたSWATたちが再編成のために一時退却しアサルトが止まる短い時間です。
この間も敵がゼロになるわけではなく開けた場所ではスナイパーの配置もあったりするので引き続き厳重な注意が必要ですが、このチャンスを逃すと次のアサルトが再開してしまうので速やかな行動が求められます。
無事に必要数の戦利品回収ができたら、逃走用バンに乗り込み現場を去ります!
ジョブ成功
無事に現場からの逃走が完了してジョブ成功となると、成功報酬から海外口座への入金と手持ち資金への分配がされ、経験値の加算で裏世界での名声レベルとPerk=パークのポイントを稼ぐことができます。
海外口座の資金は前述したCRIMENETで契約者に資金を払ってジョブを受注するときなど、手持ち資金は後述する武器やパーツの購入などに使うことができるのでコツコツと稼いでうまく活用していくことになります。
名声レベルは、より上位のジョブや武器を扱えるようになったりスキルの取得に必要なポイントを取得できます。
ジョブの成功報酬は回収した戦利品の種類や数によってボーナスがある場合が多いので、リスクを天秤にかけて指定の数より多くバッグを回収したりする駆け引きも大事だったりします。
他にも成功報酬とは別途コンチネンタルコインという便利アイテムのようなものの獲得や、Gage Mod Courierと呼ばれるDLCの回収物(パッケージ)の精算などが同時に行われます。
PAYDAY画面
成功報酬の精算のあとは裏になったトランプ3枚のうち、どれか1つを選択します。
これはちょっとしたボーナスとしてのガチャのようなもので、選択後は表面に描かれている内容に応じて武器パーツやマスクのスキンなどがランダムで追加報酬として入手できます。
過去に武器スキンのシステムが追加実装された際は色々と理由があって一悶着ありましたが、このトランプ選択に関して現在は完全に無料で課金不要です。
インベントリ
インベントリ画面では銃の購入やパーツのカスタマイズ、グレネードや弾薬バッグ等のツール、スキル・パークデックの選択など今後のジョブで重要な準備を整えることができます。
ゲーム開始直後でもインベントリを開くことは可能ですが、駆け出し状態では銃を買う資金やスキルを取得するための経験値もありません。
最初は習うより慣れろで着の身着のまま現場に向かい、無事ジョブが成功したあとにこの画面を改めて覗くことになるでしょう。
PAYDAY2は発売から10年以上が経過していることもあって、DLCが必要なものもあるとはいえ銃本体だけでも余裕で100種類を超えているほどバリエーションが豊富ですが、各武器はパーツのカスタマイズで性能をいじることも可能なのでカスタマイズの幅も膨大です。
通常の銃以外にも、アキンボ持ち、弓やクロスボウ、なかにはミニガンやRPG、火炎放射器などのイカれた火器も。
スキルはマスターマインド、エンフォーサーなどのタイプごと5つのタブに分かれており、1つのタブあたり3つのスキルツリーをいつでもどれでも振り直し可能。
スキルとは別にプレイヤー性能に特色が出るパークデック(現在23種類)をいつでも切り替えができるので、同じジョブをプレイしたとしても選択次第でまったく違うゲームのようなプレイ感を味わうことができます。
このような自由度の高さから各ジョブでのシチュエーションやGenSecの特殊部隊への得意不得意を想定しながら武器等を選択し、それに合わせてスキルやパークの組み合わせを考えるなど、プレイスタイルに合わせてビルドを組むという奥深さを楽しめます。
組み上げたビルドはラウドでの戦闘用やステルスに特化したものなど、複数のパターンをプリセットとして保存しておくことができます。
データのセーブ
データのセーブについては、インベントリで武器やスキルを選択したりと何かしらの操作をするたびにオートセーブされるので特に意識することはありません。
ジョブの本番中に途中セーブするような機能はないので、一度ジョブを始めたなら最後までプレイする必要があります。
プレイ時間
1つのジョブにかかる時間は本当にピンキリです。
ゲームに慣れて仕様を把握していれば最短15秒程度でクリアできるような場合もありますし、元々が長めのジョブで高難易度だと40~50分程度かかる場合もあります。
あくまで感覚値ですが平均して1ジョブ25分程度と考えて良いと思います。
ここが面白い
RPG的な成長要素
PAYDAYの根本的な面白さは、色々なジョブをこなしては名声を上げて裏世界で成り上がっていくというRPG的な過程にあります。
その流れで新しい武器を購入したり新しいスキルを使ってみたり、試行錯誤を繰り返しながら成長していく。
現在は「キャリアモード」という簡易的なストーリーが実装されており、それを追って進めていくだけでもかなり長時間遊ぶことができます。
強盗というテーマ性
PAYDAYは強盗系ゲームということで、プレイヤーはいわゆる善のヒーローではなく一般的に悪とされる犯罪集団の1人となります。
ジョブとして銀行に侵入し金庫にドリルを仕掛け札束を強奪するというような、現実では絶対にしない経験を体験できるのも面白さの1つです。
特に初期の頃には伝説的な強盗映画である「HEAT」をオマージュしたものなど、その界隈へのリスペクトを感じられるジョブやマスクなどがリリースされたりしていたので、強盗というテーマが好きな人はニヤニヤできることも多いはず。
※ストーリー後半にもなると、「強盗ってなんだっけ…?」となるようなコンテンツのインフレ感もあったりしますが…。
犯罪系ゲームとしてはGTA5が広く知られていますが、GTAでは一定の条件を守りながらミッションを遂行するシチュエーションが多いのに比べ、PAYDAYでは戦闘をうまく捌きながらジョブを進行させるという点に比重があります。
ステルスでの隠密行動のほうがラウドより断然楽しいという人もいるので、最後まで敵に見つからずにジョブを成功させるスマートさを極めるのもアリです。
戦闘システム
なかでも個人的に一番面白さを感じるのは、やはりラウドでの戦闘システムについて。
まずプレイヤー側の体力としてアーマーと体力(ヘルス)という2つのレイヤーがあり、基本的にアーマーは一定条件で自動回復するがヘルスは有限で回復方法に限りがあるという前提があります。
そしてアーマーが1でも残っていれば次の一撃がどんなに大ダメージでもヘルスは削られないという仕組みがあります。※ただし、スナイパーからの一撃はアーマーの状態に関わらず一定ダメージを食らう
このアーマーとヘルスの関係が絶妙に良い仕事をしていて、生存性と攻撃力のバランスをどうやって確保しようかテクニカルにビルド構築を考える楽しさにつながっています。
さらにパークデックによってはヘルスの回復能力を得る場合があったり、アーマーとヘルスの上にドッジ(回避率)という3つ目のレイヤーを持つ場合など、武器やスキルとの掛け合わせも考えると本当にビルドの幅が広いです。
多彩な強敵たち
基本的な敵となるSWATだけを見ても、高所やヘリからラペリング降下してきたり狭い隙間をスライディングしながら突入してきたりなど、アグレッシブかつスタイリッシュな動きには精鋭部隊らしい圧を感じるはず。
PAYDAY2の敵の種類は非常に多くSWAT以外にも、
- 頑丈な盾を構えていて前方からのダメージが一切通らないシールド
- スタンガンのように痺れるテイザーガンで拘束してくるテイザー
- 道の角や天井から現れては一発ダウンを狙って突撃してくる忍者のようなクローカー
- ビルの屋上などの超遠距離に潜み1発大ダメージを狙うスナイパー
- 対爆スーツを身につけた頑丈ボディでLMGやミニガンなどの高火力を放つ移動要塞のようなブルドーザー
等、多彩な強敵たちが盛りだくさんで存在します。
それぞれの敵からの攻撃にクセがあって気をつける必要があるのはもちろんのこと、例えばスナイパーを倒すためには武器の威力よりも命中率の高さが必要だったり、ブルドーザーを倒すためには武器の命中率よりも高い攻撃力と連射の速さが有効だったりと、ただ撃てば良いという感覚では対応しきれない手強さがあります。
高難易度ではより上位の精鋭部隊が投入されることによって見た目が変わるだけでなく、敵体力の増加、携行する武器の火力上昇、行動パターンがより攻撃的になるなど、熟練者でも一瞬のミスで即ダウンすることもあるほどの脅威に。
このような強敵たちを見据えて、どのようにスキルを組み武器を選ぶかをバランスよく吟味するのが難しくもPAYDAY2の一番面白いところでもあるでしょう。
シークレット、裏設定
この項目についてはネタバレにならないよう深く触れませんが、実は前作PAYDAY The Heistにもあったシークレット要素や裏設定はPAYDAY2で更に壮大になって仕込まれています。
ハッキリ言って通常プレイをしていて気づくことは100%ないであろう代物なのですが、”強盗ゲーム”からは想像できないほど意味深な仕掛けが隠されているので、ゲームに慣れた後にはその要素を追いかけてみるとまた違った楽しみ方ができます。
神話やミステリー、ファンタジーなどの要素が好きな方であればドキドキ・ワクワクが止まらないはず。
良いところ
圧倒的に抜群な音楽センス
PAYDAY2をプレイするうえで一番評価すべき点は、なんと言ってもジョブをラウドでプレイするときに流れるノリノリでカッコ良すぎる音楽たち。
PAYDAYでは敵にまだ見つかっていないステルス中であれば音楽は静かで控えめなパートを繰り返し、敵に見つかってラウドに移行すると音楽がだんだん激しくなっていき、アサルトで敵からの襲撃が本格化すると音楽が一番盛り上がるサビのパートに突入するというギミックがあります。
このギミックがあることでゲームプレイの抑揚にメリハリがつき、シチュエーションに合わせた緊張感や興奮感を最大限に演出してくれることで、ただ敵と銃の撃ち合いをするだけのゲームには収まらない快感を得られるのです。
前作PAYDAY The HeistからPAYDAY2でも音楽を担当していたのはSimon Viklundというスウェーデン出身の音楽プロデューサーで、実はBAINの声優も担当しているというマルチタレント。
彼のつくる曲はどれを聞いても絶妙なカッコよさとノリの良さがありテンションのブチ上がるものばかりなので、個人的にはPAYDAY2をプレイする理由の8割はこれらの音楽を聞くためにあると思っているほどです。
PAYDAY2の開発後半になるとEDM界隈で有名なAlessoとのコラボなどを含め色々な人が音楽を担当するようになり今までとは違ったテイストのカッコ良さがありますが、それらと比べてもSimon Viklundの曲はひときわ輝いています。
キャラクターがよく喋る
PAYDAY2ではBAIN等が音声でナビゲーションをしてくれるだけでなく、プレイヤーキャラクター自身や敵SWATなども含めてキャラがよく喋り賑やかです。
喋るというのはダメージを受けた際に痛がるというような単純なものだけではなく、プレイヤーキャラがダメージを受けすぎてダウンしそうになると「死にそうだ…!救急バッグをくれ…!」というようなセリフや、敵SWAT「なんだこいつらは!退役軍人か!?」のようにPAYDAYギャングの脅威に動揺したり多種多様。
特にクローカーがプレイヤーをしばき倒した後に「Now go to the forums, and cry like the little bitch you are! = せいぜい法廷(or 掲示板)で女々しく泣いていやがれ!」などとダブルミーニングでのメタ発言を含んで煽り散らすサマなど、見どころも多いです。
敵キャラクターだけでもセリフの多さは非常に多彩なのですが、プレイヤーキャラクターとして選択できるのはDLCも含めると総勢22人。
キャラクター自体に性能差は無いので、それぞれの英語の訛りや口癖などから自分のお気に入りにを見つけるのもまた一興です。
ジョブのランダム要素
PAYDAY2のジョブでは、建造物の構造自体やアイテムなどの配置、ジョブの展開などにランダム性が加えられており毎回同じようにクリアできるとは限りません。
たとえば外観はいつもと同じ銀行に見えても鍵の掛かっているドアが違ったり、キーカードの置き場所が違ったり、建物の構造が異なっていて通れる道も変わったり。
ジョブの展開で言えば回収できる戦利品の種類が違って移動速度に影響が出たり、逃走用バンの到着地点が毎回違ったりなど多数。
ラウド、ステルスどちらの攻略にも言えることですが、ジョブをプレイするたびにランダムに変化する要素がかなり多く同じジョブでも毎回油断できず攻略しがいがあるので、繰り返しプレイしても飽きづらいという仕掛けになっています。
途方もないコンテンツ量
さすがに発売から10年以上が経過しているタイトルだけあって、これまで蓄積してきたコンテンツの量は途方もないほど膨大になっています。
細かいDLCの購入が前提になっている部分もありますが、「PAYDAY 2: Legacy Collection」という少し古めのDLCがセットになっているバンドルをセール時に安く買うだけで余裕で1,000時間以上遊べるボリュームがあります。
PAYDAY2本体だけだと若干制限が多く感じると思いますが、Legacy Collection以外の新しいDLCについてはコンテンツをしゃぶりつくしてもまだ遊びたいと思ったときに検討するレベルで良いです。
DLCによって使える武器、パーツ、受注できるジョブ等のコンテンツ量が増えるので、ジョブに合わせた最適な武器やスキルなどの組み合わせを極めてみたり、あえてクセの強いピーキーなビルドに挑戦してみたり、いろいろなスタイルで長く遊ぶことができます。
DLCにはマスクなどのスキンを含む場合があり、インベントリ画面でマスクの改造や服装をカスタマイズすることができるので、ダサくて気持ち悪い見た目を極めてみたりクールにカッコよくまとめてみたりファッション面で遊ぶこともできます。
DLC以外でも名声レベル0~100達成を任意で繰り返す周回要素(CoDのプレステージ的システム)のINFAMYで獲得できるスキン等の報酬や、高難易度の攻略などやりこみ要素も満載です。
難易度設定のちょうど良さ
前述のとおりPAYDAY2ではジョブごとに難易度NORMALからDEATH SENTENCEまでの7段階で自由に難易度選択ができます。
FPSゲーム自体が初めてであってもNORMAL~HARDであればジョブ失敗するほうが難しいくらい、慣れてきたらVERY HARD~OVERKILLあたり、やりこみを求めてくる頃にはMAYHEM~DEATH WISH、一瞬も気が抜けない究極の高難易度を攻略したい猛者はDEATH SENTENCE。
自分の力量に合わせて難易度を選択すれば、ほどよく歯ごたえのあるちょうど良い調整具合でカジュアルに遊べます。
気になるところ
新DLC高すぎ問題
「PAYDAY 2: Legacy Collection」のバンドルやPAYDAY2本体も、セールの種類によっては割引率が低くて全然安くならないこともありますが、それ以外の新しいDLCの値段がやたら高いまま値引きが渋いのは非常に微妙な点です。
PAYDAY2の有料DLCは基本的に少しの武器やパーツの追加、ジョブの追加、スキンの追加などがほとんどですが、さすがにこれらに何千円も払うなら他のゲームを買ったほうが楽しいのでは…?と思ってしまうからです。
※ちなみにDLCの個別購入はめちゃくちゃ割高になるので余程のお金持ち以外はやめたほうが良いです。
個人的には後述するPAYDAY2の開発後期の姿勢や現在の開発会社には疑念を抱いているので、新しめのコンテンツにはそもそもあまり魅力を感じていません。
それでも開発初期に確立された「PAYDAY」のゲームメカニックや世界観の面白さは紛れもないものなので、PAYDAY2が好きになってお布施のつもりで購入するのなら悪くはないでしょう。
強盗は忍耐?
PAYDAY2は一応ベースが強盗系ゲームということで、金庫にドリルを仕掛けて開けようとしたりハッキングしたりという作業があり、どうしてもその場で待って敵の襲撃を耐える時間が発生しがちです。
L4D2ではマップの先へ先へと進んでいき同じ場所に留まることがほとんどないのに比べ、PAYDAY2では同じところを行ったり来たりするようなシチュエーションが多いので人によっては窮屈に感じるかもしれません。
とはいえ開発後期に追加されたジョブであるほど、内容が大げさにダイナミックにエスカレートしていく傾向もあるので毎回マップが狭くて地味ということもありません。
ジョブ失敗のペナルティ
1つのジョブにどれだけ時間をかけても、最終的に全滅や失敗をしてしまうと一切の報酬が得られません。
ジョブを最初からリスタートすることにペナルティはなく何度でも繰り返すことができますが、惜しいところで失敗をした場合は減額されてでも部分的に経験値や資金が得られればなぁと思うことがあります。
とはいえ高難易度でもなければジョブ失敗をする頻度というのは非常に低いので、高難易度に挑戦するような時期には妥協する気持ちができているはずです。
Overkill Softwareという会社
初期メンバーの離脱
非常に細かい話ですがPAYDAY2の開発をしたOverkill Softwareは、プレイヤーキャラクターの1人であるWolfのモデルにもなったUlf Andersson、その兄弟であるBo Andersson、音楽プロデューサーかつBAINの声優でもあるSimon Viklundの3人を中心に設立された会社です。
※Overkill Softwareは前作PAYDAY The Heistの開発も担当しており、PAYDAY2の発売前には既にStarbreeze Studiosに買収されその子会社に。
不運なことにUlfとBoはPAYDAY2のリリースに際して仲違いしたうえ、チーフクリエイティブディレクターだったUlfはPAYDAY2の開発で燃え尽きたことにより会社に姿を表さなくなり発売から約2年で最終的には退社してしまいます。
ほぼ同時期にSimon Viklundも自身の音楽プロジェクトに集中するためOverkill Softwareを退社していますが、彼は2018年までフリーランサーとしてPAYDAY2のために活動してくれました。
また、PAYDAY2の開発初期にリードデザイナーかつゲームディレクターを務めたのは過去の名作と言えるBFBC2やBF3をも担当したDavid Goldfarbという有名人物なのですが、彼もPAYDAY2の発売からわずか1年で自身のスタジオ開設のためにOverkill Softwareを去りました。
おそらくパッションにあふれていたであろうPAYDAYシリーズの基盤を作った主要人物たちがことごとく姿を消していて、現在のOverkill Softwareにはもういないのです。
信用性に疑問
開発メンバーの移り変わりが影響してかはわかりませんが、個人的にPAYDAY2の初期には硬派かつシリアス寄りなゲームという印象を持っていたのに比べ、後期には良くも悪くも何でもありなゴチャついたゲームになったように感じています。
また、過去にマイクロトランザクションは導入しないと宣言していたにも関わらず、ステータス上昇を含むしょうもないPay to Winスキンガチャを突如導入して大ブーイングを食らう事件などもありました(のちに無かったことにされる)
また親会社のStarbreeze Studiosに関連してPAYDAY2の大幅な劣化コピーである「Raid: World War II」を突如発売しては大失敗し、続けざまに「Overkill’s The Walking Dead」も大失敗に終わり一時経営破綻するなど、その舵取りには大いに不安がありました(最終的に存続しているが)。
その後リリースされたPAYDAY3はプレイしていても何も面白くない「ザ・クソゲー」という感触でそれは悲惨なものでしたが、PAYDAY3が出た以上は下手にPAYDAY2をいじくられる心配はなくなったと思いたいところです。
次回作「Den of Wolves」に期待
実のところUlf Anderssonは2015年時点でSimon Viklundを引き連れて新会社「10 Chambers」を設立し、2021年には「GTFO」という超硬派なCOOP系FPSゲームを正式リリースしています。
GTFOはあまりの難易度の高さと協力プレイの必須加減に参入ハードルが高く、プレイ人口の多いタイトルではありませんがその評価は上々。
同10 Chambersは発売日は未定ながら新作強盗系ゲームとして「Den of Wolves」の開発を発表しており、GTFOほどハードコアではなくどちらかというとPAYDAYに近いカジュアルなゲームと公表されています。
PAYDAYの初期開発メンバーが作る新作強盗ゲームであれば、いわばPAYDAY2の正当な次回作として期待して待ちたいところです。
ハッキリ言ってPAYDAY3はあまりにもひどい出来でリリースされPAYDAYブランドを汚すだけの存在にしかならなかったこともあり、改めてPAYDAY2の魅力を再確認するためにこの記事を作成したようなところもあります。
PAYDAY3をやるくらいなら、Den of Wolvesが発売されるまではPAYDAY2をプレイしたほうが断然楽しいと思います。
どんな人におすすめ?
PAYDAY2は以下のような人にオススメなゲームです。
- 強盗映画やCOOPのFPSゲームが好き
- カッコいいキャラクターやスタイリッシュな雰囲気が好き
- ふざけたりできるバカゲーっぽい余裕も欲しい
- 長時間遊べるやりこみ要素が欲しい
- 気軽に遊べるカジュアルさと歯ごたえのある難易度が欲しい
完全ソロや野良プレイヤーとのマルチプレイでも十分遊べますが、やはりこのゲームもDiscordなどでVC(ボイスチャット)をつなげてフレンドと一緒にプレイすると楽しく遊べます。
やりこみ要素も多く、余裕で1000時間以上遊べるくらいのコンテンツ量はあるので歯ごたえのあるゲームを探している人にもちょうど良いと思います。
PAYDAY2はSteamから購入可能です。
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